2021年8月1日日曜日

選択的週休3日制と障害者雇用について

 こういう記事がありました。


選択的週休3日制は、柔軟な働き方を選択できる制度で介護や育児の過程にある人の離職や仕事やボランティア活動などの両立をすすめるとされていると記事にあった。いくつかのトピック(2点ほど)をあげてこれについて考えるところを障害者雇用の視点で言及したいと思う。

なお、記事自体はバランスの良い構成になっている。論者は株式会社ワーク・ライフバランス社長小室淑恵さん、同志社大学教授太田肇さん、SOMPOひまわり生命保険執行役員人財開発部長の邨上英彰さん。それぞれの論を見ると、小室さんは理論的な枠組み、太田さんは実態の話、邨上さんは制度の実際を企業の立場から書かれているように見えた。

トピック
小室淑恵さんは次のように言及している。
現在、人手不足が指摘されている。しかし、育児や介護を抱えたり、障害があったりして週5日のフルタイムの勤務が難しい人たちは企業に採用されにくい。採用されても、非正規雇用で給与を抑えられているケースが多い。
続けて、この原因は週5日働ける人が労働力とされていることを指摘し、そうでない人は正規雇用として認めてこなかったと主張している。その上で、正規雇用の基準を変えればそのようなことを変えることができるとしている。

続いて、太田肇さんは日本型の雇用システムをあげながら次のように説明している。
 欧米企業のように、それぞれの社員の役割分担や職務範囲が明確になっている組織と異なり、日本では企業という共同体のなかで社員が部門や組織の一員として仕事をしている。
欧米のジョブ型と日本のメンバーシップ型の違いの提示を行っている。その違いに基づいて制度導入したときの難しさ、選択的週休3日制を導入した場合、減少する可能性の高い給与面での問題や副業を行ったことによって結果的にメンバーシップ型での帰属意識の低下などを誘発する可能性があることを指摘している。

最後に邨上英彰さんの話として、制度を実際に利用している人の殆どが女性であることに言及し、男性の利用が少ない背景として昇進・評価への影響があるのではないかと推測していた。

ここまで見たときに個人的に考えたことは2点。
  • 柔軟な働き方と障害者
  • ジョブ型とメンバーシップ型
  • 柔軟な働き方と障害者
一見、この選択的週休3日制という制度がすべての階層に適応されうるように見えるが、障害者雇用の実態を見ると、ここで語られている内容は日本型雇用システムの枠組みに収まった層が様々な困難に見舞われたときのバッファ(緩衝装置)としての選択的週休3日制の概念であって、障害者雇用のカテゴリに応用するのは現段階では難しいと見ざるを得ないというところと考える。言い換えると、次のようになる。

    • 正社員 → 多様な働き方としての選択的週休3日制(介護・入社後の障害)
    • 障害者雇用 → ✕ 多様な働き方としての選択的週休3日制
  • ジョブ型とメンバーシップ型
その要因としては雇用形態が違うということが挙げられる。例えば、この議論でいう正社員はメンバーシップ型である。メンバーシップ型は、長期雇用を基本としたものである。できるだけ長く雇用を行うということが前提として考慮されている。それ故、多様性を持った勤務形態を導入することでできるだけ長く活躍いただくという事が成立する。ここの論では小室淑恵さんに限って、障害者を考慮した言及をされていたがこれも実態を考えるとメンバーシップ型をベースにした話につながって来ると考えられる。一方で障害者雇用はメンバーシップ型というよりはジョブ型が多い。ジョブ型は職務を限定した勤務形態である。日本ではあまり一般的ではないが、障害者雇用では職務を限定した業務を割り当てることが多く障害者雇用に関して言えば一般的である。雇用形態もメンバーシップ型は無期や正社員なので簡単に解雇はできない。一方で障害者雇用では契約期間を定めて勤務を行うケースが多いので、契約更新時にその間の勤務実績をもとに契約更新の可否を決定していく事が多い。このようなことから、障害者雇用においてこの形態を適用させるのは日本型雇用システムの枠組みから見ると難しいというのが現状の個人的な見解である。

終わり

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